久喜市寺院墓地にて、インド産M1Hの洋型墓石を建立。先代のお客様からのご紹介

埼玉県久喜市にて、お墓・石材のお仕事をさせていただいております、木村石材店 石原です。久喜市のお寺様墓地にて、先代がお墓のお手伝いをさせていただいたお客様からのご紹介で、インド産M1Hの洋型墓石を建立させていただきました!

 

久喜市寺院墓地 新規建立 石塔:インド産M1H 外柵:カンボジアホワイトクメール

 

お客様より、同じ寺院墓地内でお墓を建立されるご親戚の方をご紹介いただきました。先代がお世話になった数十年前のご縁で、とてもありがたいお話です。ご紹介者様と今回のお施主様のお二人でご来店くださいました。建てられるのはお父様のお墓とのことでした。

 

ご一緒に墓地へ行って、お墓を建立する場所の確認を行い、周りのお墓を見ながらご希望をうかがいました。初めはご希望がはっきりしていませんでしたが、色々見ているうちに「洋型ですっきりした感じのものがいい」とご希望になり、ご希望に沿ってご提案をさせていただきました。

 

ご提案図面です。石の色味については特にご希望がなかったので、当店で最近建立した2色の石を組み合わせた事例をご紹介して気に入っていただき、工事をお任せいただきました。

 

工事に入りました。根切りが終わって掘り下げたところです。基礎を打つための準備です。

 

掘り下げた場所に割りグリという直径10~20cmほどの砕石を入れて、縦型のランマ―でしっかり転圧し、地盤を固めています。

 

鉄筋を組んで木枠の中にコンクリートを打つ準備ができました。中央は納骨室の底にあたる部分で、ここはコンクリートを打たずに土のままにしておきます。

 

コンクリートを入れて、生コン用のバイブレーターをかけます。完成したコンクリートの密度を高めてより強度を上げるための作業です。左右のお墓には養生シートをかけています。生コンが飛んでお墓を汚さないようにしつつ、基礎がお隣とくっついてしまうことも防いでいます。将来もしどちらかのお墓を解体するとき、基礎がくっついていると工事の際に影響が出てしまうためです。

 

こちらは工場での作業の様子です。ちょうど石塔本体の字彫りが終わったところです。黄色いゴムシートを石の表面に貼って文字原稿を転写してシートを切り取り、彫らない部分は緑の養生テープで養生して彫刻をしました。

 

仕上がった彫刻です。色は入れない素彫りとしました。今回石塔に使用したのは、インド産のM1Hという濃い緑色の御影石です。濃い色合いなので、色を入れなくてもこのように文字がきれいに見えます。色は入れても経年ではがれてきてしまうので、こうした濃い色の石であれば色を入れなくても彫刻が映える特徴をお伝えしてお選びいただいています。

インド産M1Hは、ものすごく硬い石です。もちろんお墓の石は全体に硬いものですが、傾向として、白い石の方が彫りやすく、黒系の石は彫るのに時間がかかると感じます。中でもM1Hは、字彫りしていてもなかなか彫り進められないような硬さで、ツヤもあります。

 

現地では基礎が完成して枠を取り外しました。

 

基礎の上に、外柵を据えています。お墓手前の踏み石部分を設置し、外側の囲い石、中仕切りの石や塔婆立てを設置したところです。今回はご要望で外柵もシンプルにしたので、囲いの石は上に羽目石のない一段式の造りになっています。羽目石がある場合は羽目石に塔婆立てを固定して設置しますが、今回は一段式のため、よりしっかりと塔婆立てを設置できるよう、囲いの石に埋め込む形で設置しました。

 

基礎と石、石と石を、L字の金具で固定しています。万一の地震などの揺れでも、ズレを防ぐためです。

 

中央がカロート(納骨室)です。その両端は石貼りをして仕上げるため、石貼りが将来的に沈下しないよう「受け」(土台)を設置しています。

 

カロートの上に芝台を設置するため、二色ボンドを塗って石を据える準備をしています。塔婆立も芝台と接着させます。

 

カロートの上にお墓の一番下の芝台を設置、その手前には拝石というカロートの蓋石を設置しました。手前側には前蓋もあります。

 

上台を設置して、その上に棹石を据えます。印はステンレスの耐震棒で、2本を棹石底面の穴に貫通させて固定します。さらに、石と石の接着面には耐震ボンドをたっぷり塗ります。地震に強いお墓になるよう、できる限りの対策を考えて施工しています。

 

棹石を据えて拭き上げて、完成です!

 

正面は、ご家名の上に梵字を彫りました。こちらは真言宗のお寺様で、周りのお墓も梵字を彫られていましたし、お寺様も彫ることをお勧めされていることをお伝えして、採用していただきました。左側面は建立年月と建立者の方のお名前を彫刻しています。

上台には「亀腹加工」という加工をしています。見た目も高級感があり、曲線で表面に水が溜まらず流れるので水垢がつきにくいというメリットもあります。芝台は角に大きな面取りをしています。

 

シンプルなお墓をご希望でしたので、外柵も直線を意識して設計しました。シンプルではありますが、何もないと少し寂しいかなと、前壁石はスリットを入れたデザインにしてみました。

 

踏み石は、すべり止め加工をしています。施工例を見ていただいて気に入られた模様を彫りました。

 

カロートの中は湿気が溜まりがちなので、換気のために後方に空気口を設け、ステンレスのカバーを付けています。塔婆立の小さな穴は水抜き穴です。塔婆立ては久喜の特徴の大きめのもので、宗派等に関係なく6尺ほどの大きさがあります。

 

お引き渡しと開眼、ご納骨も無事に終わりました。お客様は施工中も見に来てくださっていて、「丁寧にやってもらってありがとうございます」とおっしゃってくださって、完成後にはとても喜んでいただけました。このたびは当店にお声かけくださいまして、ありがとうございました。ご紹介くださったご親戚様にも改めてお礼申し上げます。何かお困りのことがございましたら、どうぞまたいつでもご連絡ください。

今回は、数十年前にお墓の建立をお手伝いしたお客様からのご紹介でお仕事をお任せいただきました。長い時間が経ってもまたお声かけいただけたのはとてもありがたいことですし、ご紹介いただけるような実直な仕事を続けてきた先代にも感謝です。お墓は、何十年と末永くお参りしていくものです。先代、先々代と同じように、建てたら終わりではなく建てたあとも責任を持って、次の世代にしっかり受け継いでいけるようなお仕事を続けていきたいと改めて感じました。