上尾市にて大谷石の石塀をリフォーム。雰囲気を残しつつ、安全性に配慮した丈夫な石塀へ

埼玉県久喜市にて、お墓・石材のお仕事をさせていただいております、木村石材店石原です。今回は、上尾市のお客様宅にて行った、大谷石の石塀と外構の改修工事をご紹介します。

大谷石外構修繕

お客様から最初にお問い合わせをいただいたのは、工事を行う2年以上前のことでした。当店のホームページで、これまでに施工した石塀などをご覧になってお問い合わせくださいました。ご自宅に大谷石の塀があり、「古くなってグラグラしている」と心配されていました。

 

こちらが施工前の状態です。何十年も前に造られたという大谷石の塀です。実際に触るとグラグラしていて、石にはひび割れや風化も見られました。セメントで据えられた昔ながらの施工で、内部に鉄筋は入っていませんでした。お客様も「怖い」と心配されていて、解体して新しい壁を設置することをご希望でした。

 

こちらは正面入り口付近です。一見すると分かりにくいですが、かなり風化が進んでひび割れているところもありました。

 

入り口から見て右側の石塀です。入り口横には樹木もありました。今回は、こちらの樹木とあわせて敷地内の樹木も撤去したいというご相談もありました。

 

よく確認すると、長年の経年劣化による風化やひび割れが進んでいるのが分かります。大谷石は独特の風合いが魅力の石ですが、今回の既存石はかなり傷みが進んでいたため、現状からも洗浄等を行って対応できる状態ではなく、新しい材料を使って造り直すことになりました。

 

施工前の勝手口側です。この部分はほかの塀とは造られた年代が違うようで、見た目には比較的新しく、しっかりしているように感じられましたが、やはり多少ひびが入っているところが見られました。

 

また、敷地内には高さ3~4メートルほどになる植木があり、今回は石塀の工事とあわせて5本ほど抜根することになりました。大きく育った木は場所を取るだけでなく、落ち葉など日頃のお手入れも大変だったそうです。

お客様のご希望を伺って、最終的には、フェンスなどの外構全体を含めた塀のリフォームを行うことになりました。あわせて樹木の撤去も行って、きれいで安全にも配慮した、すっきりとした状態を目指します。

 

本格的に解体工事が始まりました。既存の大谷石の塀は、上の段から一つずつ順番に外していきました。工事中は石材の撤去作業が続きますので、特にお子さんなどが不用意に近づかないよう作業場所は養生して、安全面にも配慮しています。

 

ちょうど塀の後ろにあった大きな植木を抜いたところです。木を取り除いただけですが、施工前と比べて敷地がかなりすっきりしてきました。

向かって左側の石塀と植木を撤去し、もともとあった土間打ちのようなベース部分まで取り除いたところです。長く続いていた大谷石の塀と大きな植木がなくなったことで、施工前とは印象が大きく変わり、かなり広く感じられるようになりました。様子をご覧になったお客様も「広くなった」「木を根から抜くことができてよかった」とおっしゃっていました。

 

こちらは右側の既存石塀を撤去した後です。左側と同じように、養生して作業を進めました。このあと、中央のゲートや樹木も撤去していきます。

 

古い塀の撤去後は、設置場所に基礎工事を行って、新しい塀の下地となる擁壁ブロックを設置しました。通常のコンクリートブロックの壁よりもかなり強度の高い擁壁です。

以前の塀は、ブロック状の無垢の大谷石をセメントで重ねて据えていったものでした。今回も、当初は無垢の大谷石を積む案もありましたが、お客様が大切にされていた大谷石の雰囲気と「安全性」の両方を考え、下地として丈夫なコンクリートの擁壁を設置して、大谷石を貼る方法をお選びいただきました。

 

しっかりとした下地が完成したところで、大谷石の石貼りを始めます。こちらは向かって左側、一番下の段を貼ったころです。下から一段ずつ仕上げていきます。

 

向かって右側も同様に石貼りを進めていきます。今回は既製品をそのまま並べたわけではなく、事前に壁の長さを細かく測り、その寸法に合わせて石材を用意しました。お客様とは何度も打ち合わせを行い、図面も繰り返し作成してご覧いただきました。

 

塀を内側から見たところです。今回の工事では、石を確実に固定することにも特に気を配っています。石を貼る前には、下地や接着面に残った粉をブロワーで飛ばし、ボンドも十分な量を使って、一枚ずつしっかりと貼っていきました。長く使う外構ですので、安全性を第一に考えて丁寧に施工しました。

 

石貼り部分が完了しました。あとは、中央の出入り口などの外構工事を進めていきます。

 

内側の仕上がりです。一番上の部分は、石塀でいう「笠石」のような形で仕上げました。細かい点ですが、見た目のデザイン性も高まります。

 

フェンスなどの外構工事も仕上がり、全体が完成しました!大谷石らしい落ち着いた雰囲気は残しつつ、既存の塀で特に心配されていた安全面を考えた施工方法でリフォームが完了しました。

 

今回使用したのは、大谷石の中でも「細目」と呼ばれるものです。細目は「ミソ」と呼ばれる部分が比較的少なく、すっきりとした表情が特徴です。今回は入荷まで時間がかかりましたが、お客様が大切にされていた大谷石の雰囲気をよみがえらせるため準備しました。

 

完成した正面入り口です。お客様と何度も打ち合わせをし、塀の構造から石の種類、外構材料まで一つずつ決めています。フェンスについてもお客様と何度も打ち合わせを重ね、私のほうで材料を探したうえで、施工は外構業者さんにお願いしています。植木を撤去したことで空間にもゆとりが生まれ、正面から見た印象もすっきりしています。

 

こちらは完成後の入り口右側です。樹木も撤去されて、安全性が高くすっきりとした空間になりました。

 

施工後には、大谷石専用のコーティングも行いました。大谷石は切り出した直後から時間の経過とともに色合いが変化していく石ですが、その性質も考えながら施工のタイミングを見て、汚れやコケなどが付きにくくなるコーティングしています。こだわって選んだ細目の大谷石の表情を長く楽しんでいただけるよう仕上げました。

 

最初にお問い合わせをいただいてから2年以上かけて、無事にすべての工事が終わりました。お客様は、見た目の雰囲気だけでなく、安全性や細かな部分までとても重視されていました。私も何度も現地へ伺ってお打ち合わせと図面の作成を繰り返し、それをご一緒に確認して一つずつ形にされいったリフォームになりました。施工中の細かな仕事についても「そんなに細かくやるんですね」「きれいにやっていますね」と声をかけていただき、完成後には「木村石材店さんにお願いしたからここまでできた」ととてもうれしいお言葉もいただきました。このたびは、当店に工事をお任せいただきまして、本当にありがとうございました。石材店として大きな経験をさせていただけたことにも感謝申し上げます。お役に立てることがございましたら、どうぞまたいつでもご連絡ください。