お墓の正面文字を、家名から「先祖代々之墓」へ彫り直し。久喜市寺院墓地

埼玉県久喜市にて、お墓・石材のお仕事をさせていただいております、木村石材店 石原です。久喜市寺院墓地にて、お墓の正面文字の彫り直しと、墓誌の新規建立をお手伝いさせていただきましたので、ご紹介いたします！

久喜市寺院墓地　正面彫り直し　墓誌新規

今回は、ホームページを通じてお問い合わせいただいたお客様からのご相談です。施工例にあった文字の彫り直しをご覧になったようで、「正面の文字を削って彫り直してほしい」というご依頼でした。

 

ご連絡をいただいて、まずはお墓を確認させていただきました。高級感ある黒御影石の和型墓石です。久喜市内のお寺様の墓地にありました。

 

正面はふたつのご家名が彫られており、両家墓としてお参りされてきていました。ご事情を伺うと、このたび別のご家族様が亡くなられて、その方をこのお墓に納骨したいとお考えでした。お寺のご住職様にも相談されたところ許可をいただけたそうで、これを機に特定の家名ではなく、今後どの家の方でもご納骨できるように「先祖代々之墓」という文字に彫り直したい、とご希望でした。両家のお墓にするために正面文字を彫り直したいというご相談はよくありますが、すでに両家墓だったお墓を彫り直すのは珍しいかもしれません。

 

また、実はこちらのお墓にはもう一つ課題がありました。これまで棹石の右側面にご戒名を彫られていましたが、たくさん彫刻があって新しくお名前を彫るスペースが残っていませんでした。そのため、お墓の右手前に新しく墓誌を追加で設置したい、というご依頼も同時にいただきました。

 

工事に入る前にお寺様が魂抜きをしてくださっていましたので、棹石を取り外して工場へ持ち帰りました。彫刻をし直したら据え直します。

 

新しい墓誌のゲタを設置しました。下地をしっかり固めてから据えています。

 

正面文字の彫り直し、新しい墓誌の設置が完了しました！

 

棹石正面です。お墓の正面文字の彫り直しは、いくつか方法があります。お客様は当初、以前にブログでもご紹介した「額加工」の彫刻をご希望でした。正面の縁部分を額にして、中央の少しくぼんだ部分に彫刻をする方法です。ただ今回は、もともと棹石の上部ギリギリまで彫刻があったので額加工は難しく、現状を丁寧にご説明して、表面を全体に数ミリ削って文字部分を削り取り、新たに文字を彫り直すという方法で対応させていただきました。棹石の頭の角は、他の面と同じように水垂の加工を施しています。

 

墓誌です。お墓本体と同じ色合いの、インド産の黒御影石を使用しました。濃い色合いで、細かい文字でも色を入れず読み取りやすく仕上がります。

 

今回お客様は少し遠方の方でしたので、やりとりはお電話とメールでのご対応となりました。ご納骨の際に現地で初めてお会いして、実際の仕上がりをご覧いただきました。「立派にきれいに仕上げてくれて本当にありがとうございます」とおっしゃってくださり、「木村石材店さんにお願いして本当に良かったです」と、大変ありがたいお言葉もいただくことができました。このたびは、数ある石材店の中から弊社にお声かけいただきましてありがとうございました。大切にされてきたお墓を、安心して皆様で守っていけるようになりましたので、どうぞこれからも末永くお参りくださいませ。何かお困りの際は、またいつでもお声かけください。

今回は、お墓の正面文字をご家名から「先祖代々之墓」へ彫り直す事例をご紹介いたしました。ここ数年、同様のご依頼は増えており、今年に入ってからもすでに3,4件いただいています。昔は姓が違うとお墓を継ぐことが難しかったり、納骨できなかったりといったケースもありましたが、近年は少子化や核家族化が進む中でお墓の継承は大きな課題となっている面もあり、ご家族の多様な形に合わせて、お寺様も柔軟に対応してくださることが増えてきました。今回の事例もそうした時代の流れを象徴するような、「一つの家だけでなく、親族みんなで今あるお墓を守っていこう」という、新しい継承の形と言えるかもしれません。これまでの経験を活かし、ご家族皆様のお力になれるようお手伝いさせていただきますので、お悩みの際はどうぞお気軽にご相談くださいませ。